傀儡音楽

かいらいおんがく

Perfumeとは何か

あっと言う間に大人気ユニットになった現在、「自分だけの秘蔵っ子のつもりだったのに」ぐらいの気持ちがあるもんで、最近のPerfume人気についてはほとんど口をつぐんでいる状態の俺なんです。よくある話ですよ、売れちゃうとちょっと態度が冷静になっちゃうっていう幼稚な話。もちろんCD楽曲はちゃんと聴いてますよ。最近のPerfumeについて、ずっといろいろ考えてますけども、結論の出ない、もやもやしたまんまの状態です。


でも一個だけ。誰も似たようなことを書いてないみたいから、全然お門違いかもしんないけど、俺の考える「Perfumeとは何か」を。
少なくともメジャーデビュー以後のPerfumeは、全然アイドルじゃないと断言できます。間違いなく、PuffyとかHALCALIとかと同列の存在。PuffyとかHALCALIを偶像として扱ってる人なんていなくて、まっとうな音楽ユニットとしてその歌やダンス(振り付け)が愛されてるだけですよね。じゃあ何がPerfumeをアイドルにしちゃったのかと言えば、俺は「Perfumeのライブでヲタ芸を打っている人たちの存在」だと思ってます。彼らの文法を当てはめた瞬間から、彼女たちのカテゴリーはアイドルになったんだなぁ、と。
いや、もちろん広島出身の地方アイドルだったことも、BEE-HIVEでわーわーやってたのも知ってますけど(じゃあボイスタBuzyがどんだけアイドルだったかってのも微妙だけど!)。本人たちのステージでのMCには強烈な吸引力と幸福感がありますし、「誰推し」みたいな面白がり方もできますけども。PuffyHALCALIと同列な時点で、もうアイドルじゃないなぁと。ヲタ芸の有無以外、何も差がないでしょ、っていう。
いや俺自身、カテゴライズなんてどうでもいいとは思うんです。ただ、だったらなおさら、冬の時代絶賛続行中のアイドルポップス界の救世主みたいな役割を押し付けなくてもいいんじゃないの、って思うんですよ。俺はアイドルポップスが好きで、Perfumeの音楽が好きなわけです。アイドルポップス好きでも何でもない人に「自分はアイドルなんて全然だけどPerfumeは良いよね!」とか言われても、前半のくだり要らねーだろとしか思えないんですよ。愛情のない人に「アイドル冬の時代の救世主だよねー」みたいなこと言われても。Perfume褒めるのにそんなにいろいろ免罪符が必要なのかい、と。


あ、やっぱり、蛇足覚悟でもう一点。
モーニング娘。……いや「モー娘。」とその関連の楽曲に対して、「アイドルうんぬんでなく、音楽的にクオリティが高いので聴いてます」みたいな顔してご高説をぶっていたサブカル気取りの人ってあの頃たくさん居たわけですよ。で、音楽的なクオリティで選んで褒めてたはずなのに、最近のハロプロ楽曲なんて一切聴いてないじゃないですか。そんで聴きもしないで「音楽的価値が低い」ってスタンスに変わってると思うんです。
別に同じ人のCDをずっと聴き続けなきゃいけない理由なんてないですよ所詮娯楽ですから。ただ当時「モー娘。」を「流行に乗っかったミーハー心でなく、音楽的クオリティの面で褒めていた」って態度だった人は、最近のPerfumeについて語る時、ちょっとそのへん思い出しつつやってった方がいいんじゃないかな、とは思いますね。数年後に思いをはせてみるとね。