あかねちんとよこやんの卒業発表を受けて、酒飲みながらいろいろ考えてしまいました……。以下、二人の本気ファンの方にはよっぽど失礼なことを書くような気がします。まず最初にごめんなさい。
リーダー野中サブリーダー牧野、小田さくら来年卒業というトリッキーな人事発表の時点で、なんとなく予想していたところではありました。それにしても生田卒業当日からたった二日というのは驚きました。なぜなのか……。ニュースバリューとして、一般の人に「モー娘のなんとかちゃんが卒業……卒業発表? どっち」みたいにいっしょくたにされちゃうような気がして、だったらもう少し分散させてもいいんじゃないの、と思ったり。
二人同時卒業……まず思い出したのは、つばきのりこりこ・きしもん同時卒業ですよね。あの卒コン、自分が見た感じでも十分成立してる、と思ったんですよね。ファンからの拒否反応もそこまで大きくなかった(ような気がする)。あれが成立するんだから、今後2名同時卒業は続くんじゃないか、そしてそれはモーニングなんじゃないか、とあの時思ったことを思い出しました。
そしてもう一点、和田がアンジュルムやめた後のりなぷーとかななんですよね。二人同時ではなかったけど3か月ごとに連続で卒業した。そんなに大きくない会場で。でも、あの時もファンからの拒否反応はそこまでじゃなかった。なんというか、とにかく「無言で受け入れられた」って感じだったことが思い出されます。
あかねちんもよこやんも、芸能界引退とのこと……。寂しいと感じるのは間違いないけど、でもこれは何となく、本人の意向なんだろうな、という気はします。なんとなくだけど、二人がそれぞれ、インフルエンサーになったり別のアイドルグループに所属したり、ってことはないような気がする。なんというか……ピンでそこそこのゴールデンのバラエティ番組に準レギュラー出演したり、お笑い界のレジェンド級の大物とラジオで渡り合ったり……みたいなことも含めて、芸能界の面白いところはそこそこ味わったんじゃないかなぁ、と思ってて。それでも、例えばお芝居がやりたいって言ったなら事務所はやらせてくれた気がするし、歌いたいって言ったらM-Lineに所属はさせてくれた気がする。そのどちらも、二人は選ぼうとしなかった結果なんだ……というような気がします。二人のことをそんなに知らない俺がこんなこと言うのも無神経かもしれないけど。
「事務所がやらせてくれる」の問題ってけっこう大事だと思ってて。アップフロントってハロプロのファン勢から常に「クソ事務所」「何もわかってない」みたいなに罵られてるわけですが、俺は実は数ある芸能事務所の中でも相当優秀で、かつ温情のある事務所だって評価してるんです。それは、なんでもかんでも「事務所がクソだから」「事務所が判断を間違うから」「事務所がぼんやりして本質を見損なってるから」……みたいな罵りを矢面に立って受けてやることで、真相をすべて霧の中に隠したまま終わらせてやれているから。それがやれる事務所って実は少ないと思ってまして、それが俺が評価してる理由なんですけど。
特にコロナ以降、ここ数年の卒業について「時期については事務所と、数年前から話し合いを続けていました」って発表してますよね。実際そうだろうし、少し考えりゃ当たり前のことでもあるんだろうけど、その点について嘘をつかないというスタンスはある意味立派。「考えてたけど、一人前の卒業者の卒業セレモニーではそれに触れない(ファンの感傷がブレさせないように)」ってところもえらい。よくわかってる。
でもそういうのって、誰かひとり事務所の偉い人に人格者が居て、その人がこうしてやろうって都度都度決めてるんじゃなくて、もう完全にルールが決まってると思うんですよ。っていうか決まってないとおかしい。企業の中に規定、社則があって、昇給や昇格にルールがあるのとまったく同じように、「あなたは今、事務所所属のタレントとしてこの位置。だから卒業に際してこういう選択肢があります」ということは、明示されてると思う。されてなきゃおかしい。メンバーは会社から提示されている選択肢の中で好きなものを選ぶんだよ、ということが初めからわかってる。卒業後1年間海外留学できるのか、給与をもらいながら長期休暇をもらってぼんやりできるのか、所属してる間の自分の人気、会社への貢献度をふまえてドライに決められてると思う。卒業後、アップフロント所属を続けられるのか、YU-Mとかへの所属をあっせんされるのか、何も無しなのか。昔は1年~2年は外部に向けての発信不可の暗黙のルールが強かったけど、最近はコンプラ的にそういう制約もつけられないから、卒業後の所属先なしのメンバーはすぐにSNS発信したりして必死ですよね。そういうのも全部、事務所の中の制度に従った結果だと思う。
「卒業後のあなたが選べる選択肢はこれとこれ」ってことが事前にわかった上で、そんなの選ぶなら所属辞めて、独立で気楽にやった方がいいかなって思うメンバーが増えるのもなんとなくわかる。「私はアップフロントに居て、今と同程度の人気が続く限り、選択肢はこれとこれしかない」ってことが所属中から冷酷にわからせられているのだから。「あの人気メンバーと自分との差」を身に染みてわかってるわけだから、恨んでもしょうがない、みんなただ冷静に、現実を受け止めてるんだと思います。
しかもそういう冷酷な決まりを、事務所は一切公にしないでいてくれますから……ファンはいつまで経っても「○○ちゃん、なんでアップフロントやめちゃうんだよ勿体ない」とか「○○の仕事すればいいのになんで選ばないの」とか言いながら、その責任を全て「事務所がクソだから」に集約させられるわけですよ。実際には「実力がなかったばっかりに、選択肢を得られなかったから」が理由なんだけど、それがしっかりオブラートにくるまれる。
我が身に置き換えてみれば……学校卒業して就職して、漫然とサラリーマン続けてる俺に対して、口さがない身内親族は「いまだに部長にもなれないの」「企画の仕事とか目指したりしないの」「今からでも資格とか取った方がいいんじゃないの」とか言ってくるわけですよ。「やりたいことないの?」とか。選択肢がないの! そんなよりどりみどりの選択肢ないんですよこの年になったら。クビにならないだけでもラッキーなの! 外野はね、内情知らないから無神経なテキトーなこと言いますけどね。身内親族の距離感だと、誰も間に入ってオブラートにくるんでくれないですからね(笑)。
最後話がそれちゃいましたけど……二人同時卒業も、芸能界引退を選んだのも、そういうの全部「事務所の中のルールで事前にわかってた選択肢の中で、最善と思われるものを選んだだけ」なんだろうな、という俺の妄想をぶちまけたかっただけでした。ソースもエビデンスもなくて恐縮です。