傀儡音楽

かいらいおんがく

Juice=Juiceに全国220公演という過酷なツアーをさせるなら

Juice=Juiceが全国220公演のツアーを開始したって話を聞いて、思い出さざるを得ないのはスマイレージの去年のライブハウスツアーだよね。スマイレージのメンバーが疲れ切っているって話を聞いて胸が痛かったし、そんだけやんなきゃならないぐらい「儲かってない」んだなと思った。完全なる傍観者であるところの俺ですら、その疲労困憊をメンバーに強いなければならない理由をちゃんと解決したいと思ったよね。ハロプロクラスでここまでしなきゃなんないなら、ほかのアイドルなんてどうなっちゃうの、って話だし(それともハロプロだからなのか?)。

220公演もやらせるならさ、せめてメンバーにスニーカーを履かせてほしいよね。できれば半分くらいはイスに座ってのトークショーにしてほしい。とにかく怪我のリスクに対して最大限にケアしたツアーにしてほしい。肉体をいじめ抜いたところにアイドルの幸せがある(かもしれない)なんて、昭和時代のスポ根マンガの話ですよ。

そもそも俺が不勉強なだけなんだけど、ハロプロのメンバーと同じようなダンスをやってるダンサーの人たちは、ハロプロのメンバーと同じような靴を履いているの? もっと動きやすい、足に負担のかからない靴を履いているのではないの? 俺が心配しているのが完全な杞憂で、今ハロプロが履いている靴は最も足に負担をかけない靴だよ、って誰かが太鼓判を押してくれるならいいのだけど。違うんだったらファンの皆で結託して「メンバーに足に優しい靴を履かせよう!」って運動を起こそうじゃないか。俺もう、疲労を貯め過ぎてステージで足を攣らせたり、足首を捻挫させたり、外反母趾にさせたり、そんな話を聞くのもうたくさんなんだ。

メンバーの肉体を酷使させて酷使させて、メンバーに「私たち、なんでこんなつらい思いしてるんだろう?」って思ってしまったとして、この先に何がある、って言える? 「これ以上につらい思いをした○○は、今こんなに高い位置で○○をしている、そこを目指せよ」……っていう到達地点、具体的に何かあるかよ、って話で。

肉体的には限界を感じるまで酷使させるツアーをやらせて、受け手である我々はそのツアーを享受する訳で、「怪我だけはさせない工夫を」とは思うけども、「なんでこんなつらい思いを」と思わせないアイディアがひとつあるんだ。

おひねり制度を導入したらどうだろう。握手会の会場で、メンバーの目の前に交通系ICカードとかの決済システムを用意してさ、握手するファンが握手の御礼に電子決済のおひねりを振り込むの。事務所を一切経由しない、額がいくらかわからないギャラが入るんだ。それに何の問題がある? ステージを成功させた出演者におひねりが乱れ飛ぶ、それは日本にちゃんと根付いている正しい文化でしょ? あるいは欧米にあるチップという名の正しい報酬制度だよ。ファンの愛情をお金に換算する仕組みをこれだけ取り入れているアイドル業界において、「ステージに魅了された観客が演者に直接おひねりを渡す」という仕組みも追加で取り入れることに、何に問題があるというのか。

CDを何百枚買っても、結局は「私の行列がこのぐらい」という精神的な部分でしか応援できていないという悔しい思いのファンも多いと思うんです。過酷なツアーお疲れ様、という気持ちで事務所を一切通らないお金をメンバーに渡す仕組みがあったらな、と思っても不思議じゃないというか。少なくとも「なんでこんなつらい思いを」って思わせない理由のひとつになるんじゃないかな、って思うんです。

そもそも、毎週末毎週末、憧れのアイドルに会いに行けるような仕組み自体に限界があるような気がします。待ちに待ったコンサートの日以外は、アイドルのメンバーが何してるのかわかんない、あんなかな、こんなかな……みたいな距離感が良かったんだと思いますけどね。2015年の今更、そんなこと言っても詮無いことですけどね。