傀儡音楽

かいらいおんがく

「Help me!!」オリコンランキングウィークリー1位に寄せて

モーニング娘。52thシングル「Help me!!」のオリコンウィークリーランキング1位、おめでとうございます。本当にめでたい。しかも売上だけじゃなくて世間の評価もあがってきてる様子。もちろん道重さんの功績によるものが大きいわけですけど、アイドルとしての評価もあがってきてるし、「モーニング娘。のファン」を自称することが恥ではなくなってきたし、女性ファンも過渡的に増えている……ような印象を実感しています。

俺たちは今、歴史的な瞬間に立ち会ってるのかもしれないと思いましたよ。「アイドルのピークが複数回ということもありえる」ってことが実証される瞬間に。本来アイドルというのはその時代その時代の瞬間を彩るもので、落ち目になったアイドルは役目を完了し、必ず終焉を迎えるものだったわけじゃないですか。モーニングは「卒業システムを取り入れて常に生まれ変わる」という仕組みは認知されていたけれど、鮮度を保っているとはいえ、ブームの時代と同等の人気が戻ってくるなんて誰も、ファンですら思ってなかった。ただ生き長らえているだけ、と思っている人が大多数でも反論できなかった。でもこうしてまた脚光を浴びつつあるのを目の当たりすると、もしかしたらと思ってしまう。まあウィークリー1位や10万枚突破は握手会というドーピング、AKB48方式によるものかもしれないけれども、評価としても上がっているって声をそこここで聞ける現在、もしかしたらまた、黄金期みたいなブームが来るかもしれない、過去どんなアイドルグループもなし得なかった、「終わったコンテンツとして完全に認識された後に復活する」という偉業を達成できるかもしれない。そんな期待を持ち始めている自分がいます。

もちろん、ブームになればすべてが最高ってことはないですよ。観る人によっては「ミーハーなバカが群がるくらいなら、わかってるファンだけのものだった数年前の方が環境がいい」とか言い出すかもしれない。でも俺は素直に喜びたいな。いろんなメディアで多数目撃できて、いろんな人が自分の好きなものを褒めて、メンバーがアイドルとして引っ張りだこって状態を実感する(多忙に苦しむでしょうけど)。モーニング娘。に再びブームがくるのなら、俺は素直に歓迎したいです。

その状況において、俺が不安要素だと思ってるのは楽曲です。「恋愛ハンター」以後の楽曲はぶっちぎりに格好よくて俺は大喜びなのですが、この路線のままでいいのかな、って心配になる。過渡的にレベルアップしていくダンス(振り付け)とセットの難解なパフォーマンス路線については、どこかで一息ついて、若い女の子のグループがもっと和気藹々と歌えて、今年の忘年会で1曲だったらこれだよね、ってなっちゃうような「うた」をシングルにして欲しい、と思ってしまう。

mixiの、俺が管理人をやらせてもらってる「モーニング娘。」コミュの書き込みに「Help me!!」を踊ろう、メンバー募集ってのがあるわけです。でも後列メンバーの志願者ってなかなか集まらないんですね(っていうか「後列メンバー」って何だよって話ですがここは察してください)。

最近のダンスパフォーマンスは、それこそ誰が抜けても成立しない、全員がひとつになって表現するレベルの高いものですが、後列メンバーがあまりにも「パーツ」過ぎると思うんです。ここまでダンスを極めて、そんで「こんな風に私もグループの一員になって『全体の一部』としての表現者になりたい」と思う女の子が、憧れる女の子がどれだけいるんだろう、と不安になります。アイドルを目指す女の子は、やっぱり「あなたがかわいい」ってスポットライトがあたる瞬間に憧れて、そんでオーディションを受けるんじゃないかと思うんです。欠けたら困る1ピースになることが目的、センターじゃなくていい、なんて子は少ないように思うし、ちょっとメタ的に過ぎると思うんです。なんだかもう少し、みんな平等な曲でもいいんじゃないかな、なんて思いましたね。

次から次へと挑戦的な、企画力アイディア力のあるシングルを送り込んでくれるつんくボーイには本当に感謝してるのですけど(俺はとてもとても面白がってるので)、でも小学生の女の子に「アイドルになりたい、モーニング娘。に入りたい」と思わせたいなら、今の路線だけじゃない、真似するのにもう少し間口の広いシングルをやって欲しいな、と思ってます。今ならそのタイミングだと思うし。例えば「SEXY BOY 〜そよ風に寄り添って〜」とか「女子かしまし物語」とか、そういう曲を出してもらえたら、と思っています。

……考えすぎかもしれません。素直に今は、1位って結果と最近の盛り上がりを、メンバーとともに喜んでればいいのかもしれません。いや、そうに決まってます。

モーニング娘。の皆さん、オリコンランキングウィークリー1位、おめでとうございます。