傀儡音楽

かいらいおんがく

アイドルという世界観を歌ったアイドル楽曲

感染症が猛威を奮い出した2020年くらいから、アイドルまたはアイドル現場を歌う楽曲が増えてきた印象です。自粛期間の夏ぐらいから「これ、現場でタオルまわさせる前提の曲なんだろうなー」と思いながら聞いたりしてました。

そんでこの2022年は特にそういう曲が増えた気がするので、気になった曲だけちょっとピックアップしてみました。

つばきファクトリー「アイドル天職音頭」


まずは我が軍の中から1曲。いわゆる日本の祭り、音頭調の楽曲なんですがOCHA NORMAが同じ星部ショウの音頭調の楽曲をほぼ同時期に出したことなどもあいまって、アイドルの生き様という側面で語られることは少なかったかもしれません。

空想モーメントL+「私をZeppへ連れてって」


キャパ何人よー、きびしいやろーのところが自分的にはピーク(ピーク早いな!)。ゼット、イー、ピーピー、ゼップ! 最高です。残念、オフィシャルMVがありませんでした。

Yamakatsu「フェスだして♡」


カバーだけど全然自分たちのものにしてるしがっつり面白い。ラップのとこのリアルな叫びも見逃せない。曲の良さもあって俺気づいたらこの曲のサビついつい口ずさんじゃってるもんなー。結局出れたの?

SIR「キミ∞ループ」


初めは「君のことが頭の中でずっとループしてる」って意味の曲かと思いきや、意外や意外、握手の列をループする歌でした!(意外じゃない) 候補生から推し始めて卒業まで追いかけて、君を推して大正解だったよと言い切れたらそれは本望ですよね。

群青の世界「最後まで推し切れ!」


いいんだ、いいんだ、いいんだ……って、いい訳ない! っていう感情の爆発が胸を熱くしてくれます。この「最後まで推し切れ!」というのも自分の気持ちを燃焼し尽くしたいというファンの気持ちを代弁してるんだよ、運営側が命令してるわけじゃないよということをちゃんと理解しないと勘違いしてしまいます。

可憐なアイボリー「誇り高きアイドル」


ボカロ的な表現でない実在のアイドルが歌うとさらに生々しいというか、「アイドルなんかという言葉はこの世で一番大嫌いだ」と言われても、いやぁ、もう少し他にも嫌いな言葉があった方が、お互い相対的におだやかでいられるんじゃないかと心配になっちゃうくらいの真摯さがあります。

可憐なアイボリー「推し変なんて許さない!」


アイドルからファンへのリクエスト強めの1曲。「自分たちは歌もダンスも苦手だけどそれは許してもらいつつ、皆勤してお金を落としてほしい」って歌です、みたいな単純な捉え方をしてしまったらそれは誤りですよねっていう。これが愛情と信頼の果てにある狂気、みたいなフィクションなのかもと考えるとそれもまた面白いですが。

 
アイドルがアイドル稼業とその周辺について歌うのって、例えたら「絵描きさんが絵描きさんの姿を美しく描いて称えあう、パトロンさんの愚直な支援を絵にして崇める」みたいなことだと思うんです。これって文化としてかなり深いところまで来てるってことですよね。魔法使いのかき混ぜる大釜のスープは究極まで煮詰められて、まさに何か新しいものが生まれる直前、みたいなことなのかもしれません。