荻野目ちゃんの30周年記念コンサートを見に赤坂ブリッツに行ってきたよ。最高に楽しかった。感想を書き留めておきます。
2014年型アイドルのコンサート会場が、どんなものかをリアルタイムで知っている俺です。比較して今日は……やっぱり年齢層が高かった! だいたいみんな俺くらい。で、アイドルのコンサートっていう雰囲気ではなかった。ぜんぜん客層かぶってないんじゃないかなと思いました。女性もけっこういましたが、女の子は少なかったかな。
俺の席は1階の後ろの方、一段上がった場所のほぼ最前列で、目の前には誰もおらず見渡しもよく、こりゃあいい席もらった、神様ありがとう……とか思ってたのも束の間。客電が落ちて数秒、目の前にスポットライトが当たったかと思うとほんの1m先で荻野目ちゃんが歌い出すっていうサプライズ演出。サプライズっていうか俺もう、心臓が止まる程びっくりしちゃって、昭和時代スリーセブンのパチンコが出始めた頃大当たりして卒倒した人ってこんな気持ちだったんだろうかと思っちゃいました。2〜3分、目の前に居たような気がするけど数秒だったかもしれない。声も出せず。とにかく死ななくて良かったです。「大好きな荻野目ちゃん見てショック死」じゃあ縁起悪くて誰も幸せになれないもん。ああ、俺、目の前でアイドルが歌うのなんて全然慣れてると思ってたけどなぁ……。
選曲は、みんなができる限りがっかりしないように、悩んで悩んで悩みぬいて選んだと言っていました。たしかにヒット曲満載の物凄いボリュームでした。にもかかわらず荻野目ちゃん、ほとんど水を飲まないんです。相当トレーニングをしてきたんだろうし、ステージの上でどうどうと水飲むなんてあんまり無かった時代を通ってきたこともあるかもしれない。とてもパワフルに次々に歌い続けてくれて、何度も胸が熱くなりました。なんというか、観客が年寄りばっかりだから、「DEAR〜コバルトの彼方へ〜」や「ユア・マイ・ライフ」のようなしっとりとした曲やって「座って聴いてください〜」とかやるのかと思ったらMC以外は全編アガりまくってる感じでした。
「スロープに天気雨」で衣装チェンジの為に引っ込むと、バックバンドのリンカーンMDKの皆さんの迫力の演奏ですよ。ボーカルのTOMOKOさんの声量ハンパない! 衣装チェンジのための幕間って、昔の映像見せたりして和んだりするパターンかと思ってたら、会場飲み込んじゃう勢いの音圧でひれ伏させられました。
で、衣装替えした荻野目ちゃんが登場。黒ラメのジャケットに帽子にサングラス。サングラスをかけた荻野目ちゃんを見て、パトリック・ナゲルのサングラスを思い出してしまいましたね。荻野目ちゃん本人もなんかの取材で真似した写真を撮っていたような記憶があります。
そこからの3曲、「STEAL YOUR LOVE」「美女と野獣」「コーヒー・ルンバ」がダンスタイムパートだったのですが、これがもうとにかく圧巻でした。むっちゃくちゃ格好良かった。ダンサー二人を従えての迫力のダンスは、きっと地味な練習を積み重ねてきたんだと思うのですが、それを感じさせないくらい楽しそうな躍動感に溢れていました。
はっきり申し上げますが、昔の初々しい荻野目ちゃんよりも今の方が全然魅力的です。昔のライブ映像とかあっちこっちで観られる世の中になりましたけど、2014年の荻野目ちゃんの方が絶対に格好良いって断言できる。たしかに2時間のコンサート終盤は肩で息してる様子でしたけども、最後までずっとプロの仕事として安心して観ていられる総合エンターテイメントだったと強く感じます。
昔の映像見てて思うのは、やっぱり音が古くて野暮ったいんですよね。『流行歌手』以後ぐらいならそれほどでもないんだけど、古い曲は古い。当時の曲を今の技術でリミックス、リアレンジしてもらった方が絶対格好いいなぁ、と。2014年型の荻野目ちゃんをもっと見たいと思ったし、見ないと勿体ないよ、と思います。
約20年ぶりのアルバム『ディア・ポップシンガー』に収録されてる新録曲、「キミとタイムマシン」がこれまた良かったな……。30周年の曲で、キーワードがタイムマシンなら、初々しかった過去の私の姿を〜みたいな世界観の曲なんだろうな、って想像しちゃうじゃないですか。軽々と真逆のストーリーを提示して見せる作詞家・荻野目洋子ってば、実に非凡な才能の持ち主だと思います。
「湾岸太陽族」「六本木純情派」「ダンシング・ヒーロー」という「世の中のオギノメチャンのイメージってこれですよね」な3曲を歌い切って本編終了。「ダンシング〜」では会場の皆で一緒に振付を頑張るというパフォーマンスがありました。いい体験をさせてもらいました。
荻野目ちゃんが大事にしてる(と思われる)2曲をアンコールで歌って終了。やっぱりコンサートのラストは「夏のステージライト」ですよね。俺だってそりゃあ、やってほしかった曲はいろいろあるけども、2時間強のライブ、全編にわたって丁寧に作られていてとてもとても満足しました。
少なくとも「アイドル」という箱庭の中で縮小再生産し続けているような音楽はそこにはなかった。本人も自分がアイドルと呼ばれていたことを飲み込み切れずにいたとのことですが、今日見たのは紛れもなくポップスのコンサート、ポップシンガーのステージだったと思います。とても楽しかった。
スタッフの皆さん、バンドの皆さん、ダンサーのお二人、そして荻野目ちゃん、本当にありがとうございました。貴重でかけがえのない体験をさせてもらいました。ありがとうございます。
そしてもうひとつ、30年間ずっと好きでい続けさせてくれて、俺にとってのアイドルでい続けてくれてありがとう。30周年おめでとうございます。
- アーティスト: 荻野目洋子
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2014/08/20
- メディア: CD
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セットリスト
1 | 99 Big Balloons | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
2 | ラヴィン・ユー・ベイビー | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
3 | ホット・スタッフ 〜恋のかけひき〜 | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
4 | ブレイクアウト 〜弾けろ、ワタシ〜 | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
5 | 未来航海 | 1984 | 1stシングル |
6 | さよならから始まる物語 | 1984 | 2ndシングル |
7 | ディセンバー・メモリー | 1984 | 3rdシングル |
8 | 無国籍ロマンス | 1985 | 4thシングル |
9 | 恋してカリビアン | 1985 | 5thシングル |
10 | 心のままに〜I'm just a lady〜 | 1985 | 6thシングル |
11 | BUS STOP | 1988 | 「ストレンジャーtonight」C/W |
12 | スロープに天気雨 | 1986 | 「フラミンゴ in パラダイス」C/W |
13 | STEAL YOUR LOVE | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
14 | 美女と野獣 | 1991 | 2ndシングル |
15 | コーヒー・ルンバ | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
16 | さよならの果実たち | 1987 | 12thシングル |
17 | ストレンジャーtonight | 1988 | 14thシングル |
18 | スターダスト・ドリーム | 1988 | 15thシングル |
19 | フラミンゴ in パラダイス | 1986 | 8thシングル |
20 | 湘南ハートブレイク | 1989 | 18thシングル |
21 | 北風のキャロル | 1987 | 13thシングル |
22 | Dance Beatは夜明けまで | 1986 | 9thシングル |
23 | 待ちきれない瞳 | 1990 | 『KNOCK ON MY DOOR』収録 |
24 | フリーダム | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
25 | キミとタイムマシン | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
26 | 真夜中のストレンジャー | 1986 | 『ラズベリーの風』収録 |
27 | 湾岸太陽族 | 1987 | 11thシングル |
28 | 六本木純情派 | 1986 | 10thシングル |
29 | ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)[remix] | 2014 | 『ディア・ポップシンガー』収録 |
アンコール
1 | いつまでもDON'T LET ME DOWN | 1992 | 『NUDIST』収録 |
2 | 夏のステージライト | 1986 | 『ラズベリーの風』収録 |
※本当はここに書いていない曲があるのですが内緒です。荻野目ちゃんとの約束なんです。