傀儡音楽

かいらいおんがく

THE ポッシボー 3rd.アルバム『1116』全曲レビュー

THE ポッシボーの3rd.アルバム『1116』が好きで何度も何度も聴いています。CDを繰り返し、何度も何度も聴くって素晴らしい。1曲ごとの感想を、思いつくままに並べてみます。「全曲レビュー」とかかっこつけて書いちゃいましたが、ホントただの感想です……。

りぼん

ribbon」というより「reborn」寄り。歌姫はしもんの独擅場。ドラマティックにぐんぐん盛り上がって行って、大人っぽい比喩表現を積み重ねていって、サビでユニゾンになった時の歌詞が「さぁ 行くぞーッ!」「負けないぞーッ!」ってなるところがむちゃくちゃに今のポッシボーを表わしてる、気がする。このバラエティに富んだアルバムの1曲目がこの曲ってところに価値を感じます。……ってここにしかはまらなかった、ってこともあるのかしら。

Do Me! Do!

俺の好きな「ドヤ顔ポッシボー」の1曲。性に関する表現が超直接的でこれって20世紀ですよね。「ZUKIN DOKIN」ってまさにアイドルソングだな、っていう。「あなたのママにはできないは<絶対にね>」って歌詞は、血が繋がってるからこんなエロいことは無理でしょう、ってことなんだろうけども狂った時代の今ならそれすらありえるんじゃないの、とか思ってしまう。でもRAPの歌詞部分だけはU.M.E.D.Y.とかに外注してほしいかな。

Lovely! Lovely!

はしもんとあっきゃんには歌があって、ロビンはステージ全体を引っ張ってて、もろりんにはシャーク諸塚があるわけで、だとしたらごとぅーにこの曲が届けられたのは必然という気もする。というかごとぅーの声はこのアルバム『1116』の中では最も印象的なフックになってて、必要不可欠であることは明白。バラエティ感あるアルバムにはこういう曲が絶対必要。「V字回復アイドルのポッシだからこその曲」でないところに価値があります。

乙女! Be Ambitious!

NEW ROTEeKAの「...to Be HARLEM」さながらのイントロから始まるところからしてオッサンホイホイ。この高速はっちゃけドラムをそうる透先生(56)が叩いてるってんだからすげえ。総じてリッチで何度も聴き直しちゃう。楽器ひとつひとつの音を追いかけていくのがアルバム一楽しい曲で、「あーライブのオケじゃぁわかんねぇモンもある、アイドル楽曲はやっぱりCDだな、CD」とかつい思ってしまう1曲。

なんじゃこりゃ?! (ボーカルヌードバージョン)

ボーカルがヌードになる瞬間がかっこよくて、毎回ちょっと鳥肌たつのは俺だけなのか。久しぶりのシングルとして始めてこの曲が紹介された時、イントロや冒頭の振り付けや寸劇まがいの展開に抵抗があって、ああ企画モノかとうなだれたものですが、聴けば聴くほど好きになってったんですよね。特にサビ。ハバネロ50本分くらいかっこいい。発売当初はステージで「この曲、全力なんで、歌い終わると息が上がっちゃって……」とか言ってましたが、最近はもう完全に血肉にしてるみたいですね。

勇気スーパーボール! (アルバムバージョン)

NACK5のラジオ番組「〜IDOL SHOWCASE〜 i-BAN!!」の投票企画で選ばれたシングルなんですよね。俺は「Do Me! Do!」か「NASTY!」が良いと思ってたんですが、決まってみればやっぱりポッシの現在を最も表現している曲、という気がします。「壁に当たったらチャンス」ってなかなかたどり着けない境地だよなぁ、と。

さくら

CDを上梓して歌う者だったら、やっぱり「さくらソング」ぐらいは持っていたいですよね……ってよく考えたら「桜色のロマンチック」が既にありますけども。20年前の僕らは胸を痛めてユニコーンの「自転車泥棒」なんて聴いてたわけでこれまたオッサンホイホイなんだなぁ。カセットテープで考えればA面の最後の曲の位置ってことで間違いない。

なんかすんごい事もできそーだぞーう!

まさに新堂敦士の真骨頂! この吹っ切れっぷり、完全復活おめでとうと喝采したい気分。しかも聴けば聴くほど「これ岡村ちゃんだったらどんなミックスにするんだろう」「岡村ちゃんならどんな言葉選ぶだろう」「どんなふうに歌ってどんなふうに溜息つくだろう」とか考えてしまって、ホントにオッサンってのはダメですね。でもこの曲が好きって人に「SUPER GIRL」とか「どぉなっちゃってんだよ」とか聴いてもらって、そんで音楽趣味の幅が広がればそれは素晴らしいと思うし、新堂敦士だって小出祐介だってそれを喜んでくれると思うんだ。ねぇ、そうだろ?

恋がダンシン!

やっぱりアイドルのCDだから、いい恋をして幸せを感じてる世界観の曲は大事ですよね。「ウェディングベル」って歌詞が耳に残っちゃうもんでもう結婚間近の二人の話なのかと思いきや、もしかしたら実際にはまだ始まったばかり恋なのかもしれませんね。「イヤ〜ン」だの「キタァー」だのいちいち可愛い。でも音に関してはチープな気がして、もっと選りすぐりに選りすぐりを重ねたこの音、この音だから使いたいんだ……ってものの集合体という印象はないですね。音楽についてまったく素人の俺なんかに言われたくないでしょうけど。

永遠ファイヤーボール!

さあここからクライマックスと言わんばかりにアゲアゲ曲がみっつ続くところは、まさにライブさながらの構成ですね。曲名が「ボール」で終わる曲は最後でミス・サイゴンばりに声量見せつけなきゃなんない決まりでもあるのかしら。家族への愛情を感じながら前に踏み出す歌詞が、今までのポッシボーをちゃんと引き受けているようで好きです。女の子が永遠を歌うのっては本当に儚くて美しい。

さぁ来い!ハピネス!

アゲ曲の中では一番好きな曲です。歌詞の通りどんどん昇っていく上がっていく展開に身を委ねるが楽しいですね。ユニコーンで言えば「人生は上々だ」的な上がり続けるキーが癖になります。歌われている「ゆーめーの天辺」というのが夢のてっぺんなのか有名のてっぺんなのか、あるいはその両方なのかわかりませんが、V字回復アイドルここにありという迫力が封じ込められた、まさに最強に強まった1曲だと感服しています。

全力バンザーイ!My Glory!

こんだけ燃やしまくって「まだまだ! まだまだ!」って歌い続けるところが若さですよね。フルで聴いても歌姫二人とTwitterモンスターしか歌ってない(ように聞こえちゃう)曲なので、テレビで歌っているのを見た時は強気だな、勝負かけてるな、と思ったものです。最後のフレーフレーの振り付けで、ライブ会場が完全に一体になる瞬間を見るにつけ、ちょっと怖いなとすら思ったことがあります。そのぐらい力強い1曲。

愛しさを束ねて

まさにライブの最後を締めくくるような、再会を約束する1曲。5人の歌唱をしみじみと堪能できるところがいい。素直にじーんと来て、そんでまた最初からもう一度聴きたくなるっていう、よくできた構造になっています。

 

という珠玉の13曲。シークレットトラックにシャーク諸塚的なお遊びもなくド直球で繰り出されるこの13曲は、今のポッシボーの全力を余すところなく押し込めて満を持して中野サンプラザに向かうための武器にも思えるし、すでに次のステップへ向かう為に2014年型ポッシボーを記録するための記念碑にも思えます。

ライブやらYouTubeやらで聴きなれていたつもりの楽曲を、改めて、まとめて、ヘッドフォンからじっくり聴いてみると、アイドルのアルバムCDってやっぱりいいもんだなとしみじみ思ってしまいました。バラエティに富んだ傑作だと思うので、たくさんの人に聴いてほしいって素直な気持ちで思うし、聴いて良かったと思ったら11月16日に中野サンプラザに足を運んでほしいな、って思います。

 

ポッシの皆さん、スタッフの皆さん、素晴らしいアイドルCDをありがとうございます。心から。

1116(初回限定盤)

1116(初回限定盤)