傀儡音楽

かいらいおんがく

2013年の荻野目洋子さんによせて

若い頃、ずっと荻野目洋子さんとか工藤静香さんの音楽作品が好きで、とてもとても好きで、繰り返して聴いてました。イカ天・パチパチ・バンやろのバンドブームなんかよりもずっと前からそういう音楽作品を聴いてたし、だからこそ今俺は好んでアイドルのCDを聴いてるんだって確信してます。

でも、当時の荻野目洋子さんとか工藤静香さんのやってた音楽って、正当に後継されてるかっていうとよくわからないなぁ、と思って。

俺は音楽的なことはわからないので、もしかしたら「当時の彼女たちの音楽はこれこれっていう海外の音楽のエッセンスを取り入れたものだし、そういう観点で言えば今の誰それの音楽はそういう立場にある」と言われたらそうなんだろうと思うんですが。

アイドル楽曲大賞で対象になってる楽曲の多くは、アイドルの再生産の為に作られた音楽というか、流行歌、歌謡曲とは違う、アイドルソングの為のアイドルソングばっかりだなぁ、という気がするんですね。ピンク色にしか塗りようがない塗り絵みたいな。……いやぁ、自分なんか全然不勉強で、知ってる範囲で言ってるわけで、実際にはそんなことねえよって笑われるかもですけども。

なんつーか、ひいき目もたぶんにあるでしょうけど、荻野目洋子さんとか工藤静香さんの音楽って、当時ヒットチャートのど真ん中に居たと思うんですよね。それがちっともおかしくなかった。今、ヒットチャートのど真ん中にはAKBグループがいて、彼女たちの楽曲はクオリティ的にも全然ど真ん中で当たり前の内容になってると思うんですけど、こんだけ盛り上がってるはずのアイドル楽曲全体で見た時は、本当にこういうことなのかな、って少し心配に感じちゃう。

ま、どこまで言っても視野と知見の限られたオッサンの戯言ですけども……。

荻野目洋子さんが『流行歌手』というアルバムを出した頃……実際にはそのアルバムを出した頃は若干ピークを過ぎてたわけですが、でもやっぱりむちゃくちゃ格好良くて、ちゃんと当時の流行をつかまえてたと思うんですよね。間違いなく彼女は「流行歌手」だった。シンガー、アーティスト、ミュージシャン、あるいはディーバみたいな言い方じゃなくって、「流行歌手」って呼び方だったら今、誰のことなんでしょうね? こういうの、今みたいに何もかもが成熟して、嗜好が細分化してしまった世の中じゃ仕方がないことなのかなぁ。

今の若い人だってきっと、荻野目洋子さんの「ダンシング・ヒーローEat You Up)」は何となく知ってる。「恋してカリビアン」も知ってるかもしれない(野球の応援歌として)。メロディがちゃんとしてて、湯船につかりながら口ずさんで楽しい曲がいっぱいあったんですよ。賞レースを超盛り上げて、紅白にも何回も出てたんです。「CDでーた」の創刊号、表紙が荻野目洋子さんなんです。今も持ってます。

ま、どこまで言っても視野と知見の限られたオッサンの戯言ですけども……。

そんな荻野目洋子さんが来年でデビュー30周年!! 30周年ですよ。すごくないですか。「未来航海 -Sailing-」から30年……。感慨深いです。
そんな荻野目洋子さんも今や三女の母。一番上の子がそろそろ中学生のはずなので、もしかしたら三人のうち一人くらいは、歌を歌うという仕事に興味を持たれている頃かもしれません。もちろん、興味をもたれてないならそれはそれで全然いいんですけども。

そんな荻野目洋子さん、本日12月10日がお誕生日なんです。おめでとうございます! あなたの音楽が今の俺の何分の一かを作ってます。いつか「荻野目洋」ってペンネームで小説家になって、荻野目洋子さんと雑誌で対談するのが今の俺にとっての一番遠い、遠いけど一番楽しみな果てなき夢です。

荻野目洋子さん、お誕生日おめでとうございます。
ゴールデン ベスト 荻野目洋子