傀儡音楽

かいらいおんがく

モーニング娘。最後の日

 いつの日か、モーニング娘。最後の日というのが来るのならば、ファンの皆でこうしたらどうだろう、というアイディアがあるんだ。
 歌うということにこだわってきた彼女たちだから、最後の日はきっとコンサートだと思うんだ。それはきっと9月の横浜アリーナで、ハロコンではなく娘コンだと思うんだ。もしかしたら歴代のメンバーが総出演するかもしれない。ハロー在籍のメンバーは全員参加、石黒も参加、市井と福田からは手紙が届くような気がするんだ。懐メロ大会の様相も呈しつつ、驚きの「愛の種」も歌われて、シングル曲メドレーは思ったよりもショボかったりして、めくるめくような進行をすると思うんだ。最後の最後の曲は……わからない。わからないけど「LOVEマシーン」や「恋愛レボリューション21」ではない気がするんだ。
 コンサートが終わった後もファンは皆きっと会場の外に残って、大きな声でメンバーの名前を順番に合唱するだろう。卒業メンバーの名前から現在のメンバーまで余すところなく叫ばれるだろう。泣いている人もいると思う。そのうち声は枯れ、疲れてしまうと思うんだ(そして俺はやっぱり、サイリュームライトも振らないだろうしメンバーの名前も呼ばないだろう)。
 最後の最後に、ファンの皆で、携帯電話の着メロを流し続けないか。電池が切れるまで。自分が好きだったモーニング娘。の曲を、安っぽい電子音で、それぞれが流し続けるんだ。あっちでは「I wish」がかかりそっちでは「通学列車」がかかるのだ。あっちでは「シャボン玉」が流れそっちでは「さみしい日」が流れるに違いない。耳を澄ませば自分の好きだったメロディが聞こえてくる。ふらりと歩けばまた別のメロディが聞こえてくる。
 携帯電話の電池はいつか切れるだろう。聞こえるメロディは少しずつ減っていく。最後まで流れ続けた曲はなんだろうか。そしてその曲がどんな曲であろうと、間違いなく俺の中のメロディは消えないのだけれど。