傀儡音楽

かいらいおんがく

転校する気持ちって (アイドル究極MD 3曲目)

 俺は転校ってしたことないけど。子供の頃の話ね。転校に際して寂しいとか行ってるのは、実は送り出す側だけなんじゃないかしら。転校する子本人は、まだ子供だし不安でいっぱいなんじゃないかしらねぇ、とか思う。

 テレビドラマや映画だけじゃなく、シングル曲のビデオクリップにも転校っていうシチュエーションは使われるよね。主人公が淡い思いを寄せている相手が突然転校してしまうと知る。走る主人公。たどりつくとちょうど引越しの荷物を積み終えたところ。主人公は思い出の品となるプレゼントを渡す。交わす言葉も少ない別れ。走り去るトラックを見守る主人公(場合によっては泣きながら追いかけても可)。エンディングは数年後、思い出の品を持った相手が主人公の前に現れる……みたいなさ。

 転校して、想っていた相手と毎日会うことができなくなる寂しさ。手紙出すねって言葉だって、信じないわけじゃないけど心細い。物理的な距離を考えるだけで圧倒される。毎朝登校するだけで、当たり前のように好きな相手に会える環境って、なんて贅沢だったんだろう……なんてことを考えるんだと想うんですけど。
 でも大人になった今だと、会おうと思えばいつだって会えるような気がしてしまう。現代になった今だと、引越し中からずっと、リアルタイムでメールの交換したりして。寂しいのは寂しいけど、本人たちがその気なら大した金額を費やさずにずっとコミュニケーションがとれる時代なわけで。

 もしかしたら転校って言葉の甘酸っぱいノスタルジー感も、20年前に比べたら少しだけ薄れちゃってるのかなぁ、なんて心配したりしてね。

遠い日のメロディー
トゥルーラブストーリー〜恋のように僕たちは〜/仲間由紀恵
1st.アルバム『遠い日のメロディー』収録

 仲間由紀恵のセカンドシングルかな? プレイステーション用ゲームソフト「トゥルーラブストーリー」のテーマソングでもあるんだけど。これがもう猛烈な名曲で。メロディも美しいし歌詞も淡くて青くてせつない。恋愛になんて全然届かない、「気になるアイツがいなくなってしまう」ぐらいの距離感が素晴らしいんだよね。これは本当に名曲だと思います。俺のアイドルベストMDに収録決定。

 その「トゥルーラブストーリー」ってゲーム自体が転校をテーマにした作品だったんだけど、もしかしたらこういうのに気持ちを動かされるのは俺みたいなオッサンだけなのかもしれないなぁ、とか思ったり。そのゲームにも仲間由紀恵の曲の中にも、俺の経験してきた恋愛体験のような事実は一切出てこないんだよね。俺の経験したことのない、転校とそれに付随する甘酸っぱい思いだけ。

 これ読んでる人の中に、春になったら転校が決まってる人もいるのかしら? もし良かったら、今のあなたの気持ち、俺に聞かせてください。一人ラジオやる時に紹介させてもらいますんで。